■概要
確かに夜泣き対策として赤ちゃんを放置する(というより見守る)のは有効ですが、あなたは本当に放置できますか?
放置に耐えきれずに途中であやすと逆効果って知ってましたか?
本記事では放置できない人のために、夜泣きの原因と今日からできる対策について説明します。
■参考文献
- 羽山順子・津田彰:小児の睡眠問題に対する行動科学的アプローチ(2011)
- 清水悦子:赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド(2019)
- 【医師取材】赤ちゃんの室温の目安は? 季節別の温度調整ガイド
あなたは夜泣きを放置できる?
「海外では子供の自立性を育むために夜泣きを放置するのが常識」といった記事をたまに見かけます。
実際に、アメリカや欧州では赤ちゃんを別室で寝かせることが多いようです。
国内でも研究例はあり、論文では放置することを「消去法」と呼んでいます。つまり、泣く=ご褒美(授乳や抱っこ)という図式を消去するという方法です。[ref.1]
消去法により夜泣きを軽減できた例は割と多いそうで、ある程度有効のようです。
ただし、気を付けていただきたいのが、完全に放置するわけではなく、基本的には「見守る」らしいです。
アメリカでもベビーモニターをつけて何か危険がないか様子を見ているようです。
しかし、ここからは自論ですが、相当強い精神をお持ちの方以外には夜泣きを放置することをお勧めしません。
なぜなら、しばらく放置してみたけどなかなか泣き止まず耐えかねてご褒美をあげてしまうと、「最初はご褒美をくれなくても諦めずに頑張って泣いてればご褒美がもらえる」とインプットされてしまいより大変になるからです。
じゃあ、夜泣きを放置できない人はどうしたらいいのでしょうか?
私は、夜泣きの原因と対策をきちんと学んで、試行錯誤をするしかない、と考えています。
本記事では、夜泣きの4大原因とその対策について紹介します。
夜泣きの4大原因とその対策
夜泣きの原因は、大きく分けて4つあります。
■夜泣きの4大原因
- 体内時計が定まっていない
- 寝言泣きを夜泣きと勘違いして起こしてしまう
- 眠る環境に問題がある
- その子の個性
それでは、それぞれの原因とその対策について説明します。
体内時計が定まっていない
我々大人は特に意識せずとも朝になったら起きて夜になると眠くなるという体内時計が定まっていますが、赤ちゃんはまだ体内時計が定まっていません。
体内時計が定まっていないと夜に覚醒しやすくなり、夜泣きの原因となってしまいます。逆に体内時計が定まってくると夜に寝る時間が長くなると言われています。
対策はある程度確立されており、明日から始められるものですので、まだ実践していない方はさっそく始めてみましょう。[ref.2]
【対策】
- 朝は7~8時までにカーテンを開けて起こす
- 日中はなるべく太陽の光を浴びるようにして活動的に過ごす
- 寝る前に薄暗くしてスキンシップをとる
朝は決まった時間に太陽の光を浴びさせて起こすことで体内時計をリセットすることができます。
また、日中に太陽の光を浴びて活動的に遊ぶことで、夜に強い眠気を引き起こす「メラトニン」の分泌を高めてくれます。
そして、寝る前に薄暗くしてスキンシップをとることで興奮を沈めたり安心感を与えることができます。
寝言泣きと夜泣きを勘違いして起こしてしまう
赤ちゃんも大人も寝ている間に浅い眠りと深い眠りを繰り返していますが、赤ちゃんは大人よりも浅い眠りの割合が大きく、また、浅い眠りの感覚が短いと言われています。大人が90分に1回浅い眠りをするのに対し、赤ちゃんは40~50分に1回は浅い眠りになるそうです。
浅い眠りの時に、寝言のように泣くことを寝言泣きと言います。それを夜泣きと勘違いして起こしてしまうと浅い眠りの時に毎回あやしてもらおうとします。
こちらの原因の対策はシンプルです。
【対策】
- 夜に赤ちゃんが泣いたときは、すぐに起こさずに数分様子を見てみる
シンプルですね。こちらを試したら、何回かに1回は自力で泣き止んで寝てくれると思います。
眠る環境に問題がある
夏に夜中目覚めてしまった経験はないですか?
当然、赤ちゃんも眠る環境が心地よくなければ起きてしまいます。赤ちゃんは浅い眠りの割合が大きいので、その浅い眠りの時にちょっとでも暑かったり寒かったりしたら泣いて訴えてくることも当然ありうるわけです。
なので、対策としては、下記のことに注意して、空調なり服装なりうまく調整してみてください。[ref.3]
■対策
- 適正温度:夏⇒26~28℃、冬⇒20~23℃
- 適正湿度:夏・冬⇒60%程度
- 服を着せすぎたり布団をかけすぎたりしない
- エアコンの風は直接当たらないようにする
温度や湿度を調整するには家電に頼るしかなさそうです。できる範囲でいいので、赤ちゃんが寝やすい環境をつくってあげましょう。
しかし、赤ちゃんにとってあまりに暑すぎると乳幼児突然死症候群の原因になりかねないので、やりすぎには注意しましょう。
その子の個性
正直な話、夜泣き対策に関してこれといった答えが出ていない理由はこの「個性」が影響していると考えています。
赤ちゃんは寝返りを始める時期や一人座りができる時期がそれぞれ異なるようにみんな個性があります。
夜によく寝る子もいれば、なかなか寝るのが不得意な子もいるのは当然です。
正直なところ、この原因に対しては具体的な対策はありません。
【対策】
- 赤ちゃんが安心でき、かつ、なるべくママ・パパが楽な方法を探求し、気長に待つ。
抱っこしたり、添い乳したり、添い寝したり、お腹をトントンしたり、子守唄を歌ったり、方法は様々ですが、いろいろと試してみてください。
どれが正解とかはなく、抱っこが楽であれば抱っこが正解ですし、添い乳が楽であれば添い乳が正解なのです。
夜泣きは、統計的には2歳までにおさまることが多いということですので、まあといっても短くはないですが、夫婦で協力し合って乗り越えてください。
まとめ
「夜泣きは放置していい」というような学説もありますが、人には向き不向きがあります。放置できない人はいろいろと試行錯誤をして、赤ちゃんにとっても、ママ・パパにとってもより良い方法を見つけることが大切です。
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