■概要
妊娠中の食事や離乳食は極力無農薬野菜を使用することをおすすめします。その理由を、農薬と発達障害の関係について紹介しながら解説します。また、家計にもやさしい農薬の影響を減らす方法についても紹介します。
■参考文献
- 黒田洋一郎:自閉症・ADHD など発達障害増加の原因としての環境化学物質
- 木村-黒田純子:ネオニコ系農薬に発達障害などの懸念
- 米国小児科学会:Pesticide Exposure in Children(安間武 訳)
- EWG(Environmental Working Group):EWG’s 2019 Shopper’s Guide to Pesticides in produce
- EWG:Full List
妊娠中の食事・離乳食は無農薬野菜のほうがいい?
結論からいいますと、妊娠中の食事と離乳食には無農薬野菜や有機野菜をなるべく使用したほうがいいです。
のちに詳しく説明しますが、農薬、特にネオニコチノイド系農薬は子どもの発達障害に影響する可能性があることが分かってきています。
科学的にどのくらいの量が許容量なのかは明らかにされていませんが、農薬と発達障害に関係があるという研究結果があるのでできる限り避けたほうがいいというのが私の考えです。
農薬と発達障害の関係
今まではADHDや自閉症などの発達障害は遺伝が主原因だと考えられてきました。
しかし、最近の研究で遺伝よりも環境の影響の方が強いことが分かってきました。
例えば、自閉症の場合、遺伝率は37%で、残りの63%は環境要因であることが分かっています。[ref.1]
環境要因といっても色々ありますが、最近では特に有機リン系やネオニコチノイド系の農薬が原因ではないかと疑われています。
ネオニコチノイド系農薬は今でも殺虫剤として使用されており、2012年のミツバチの大量失踪の原因となるくらい神経毒性の強い農薬です。[ref.2]
実際、2012年に米国小児科科学会は、農薬が子供の小児がんや認識機能の低下、行動障害を引き起こす可能性があることを発表しています。[ref.3]
その他にも数々の研究によって、ネオニコチノイド系農薬が哺乳類の脳機能に悪影響を及ぼすことが報告されています。
日本の農薬規制はなんと緩和されている
このように農薬の危険性が分かってきたため、海外では農薬に関する規制が厳しくなってきています。
フランスは18年9月、すべてのネオニコ系農薬の使用を中止し、オランダも14年、ネオニコ系農薬の全面禁止法が議会で可決されました。ドイツ、イタリア、アメリカ、カナダ、ブラジル、韓国、台湾などでも 品目により使用規制・禁止されています。[ref.2]
では、日本の規制はどうなってると思いますか?
農業大国の日本の規制はもちろん厳しくなってる、そう思いますよね?
逆なんです。
日本の農薬規制は緩和されており、海外の規制値に比べてかなり緩いものとなっています。
例えば、ホウレンソウの農薬の残留基準は3ppmから40ppmまで緩和されており、国際基準の20倍ほど緩い基準になっています。
家計にやさしい農薬の影響を減らす方法
農薬が赤ちゃんにとって良くないこと、日本の農薬規制が緩いことが明らかになりました。
では、妊娠中の食事や離乳食は全て無農薬野菜にしなくてはいけないのでしょうか?
私は、それはあまり現実的ではないと考えています。
無農薬野菜はやはり値段が高い。通常の野菜の3倍ほどの値段がします。
じゃあどうしたらいいのか?
私は農薬が多く残留する野菜・果物のみ無農薬にしたらいいと考えています。
そこで参考にしたいのが、アメリカの環境保護団体EWG(Environmental Working Group)が発表した、残留農薬が多い野菜・果物ランキングです。[ref.4]
残留農薬が多い野菜・果物ランキング
- 1位 イチゴ
- 2位 ホウレンソウ
- 3位 ケール
- 4位 ネクタリン
- 5位 リンゴ
- 6位 ブドウ
- 7位 桃
- 8位 さくらんぼ
- 9位 なし
- 10位 トマト
- 11位 セロリ
- 12位 じゃがいも
上記の野菜・果物を無農薬に変えるのはそこまで大変ではないと思います。
心配な人は、EWGが農薬が多い野菜・果物を47位まで紹介してるので、[ref.5]を参考にしてみてください。
まとめ
正直なところ、私が調べた限りでは、状況証拠はそろっていても、農薬が間違いなく発達障害に影響しているかどうかまでは分かっていないようです。
しかし、農薬が赤ちゃんにとって何かしらの悪影響があることは様々な研究で分かってきました。
少しでも危険性が指摘されているのであれば避けた方が安心ですよね。
一方で、そのために無理をして家計を圧迫してしまっては辛いので、無理のない範囲でやることをおすすめします。
コメント